電子書籍「iOSの教科書」リリース

7/20に電子書籍「iOSの教科書」をwookよりリリースしました。期待の新鋭、神谷典孝さんとの共著で、前著「iPhone SDKの教科書」の精神を最新鋭の環境に蘇らせた!って感じかな。しかも、今回は電子書籍なので、可能な限り軽やかに多方面に展開したいと思っています。

そんなワケで、この電子書籍はiPhone、iPod touch、iPad、Android、Mac、PCのいずれでも閲覧可能です。また、書籍の内容の一部は試し読み可能で、基礎編での操作手順はチュートリアル・ビデオまであります。これらを含めて書籍サポート・サイトiosbook.netには、サンプル・コードやサンプル素材のダウンロードや各種情報が満載。冗談みたいですが、オーディオ・ブックもちょこっとだけ試してみました。

Lionでバリバリとアプリ開発されている方には本書は不要ですが、これからiPhoneやiPadのアプリを開発しようという方や、LionやXocde 4.1にはまだ馴染めないとい方にはバッチリだと思います。試し読みの上、ご購入いただければ幸いです。

iosbook-flyer

iPhoneで3GとWi-Fiの同時通信

iPhoneで、あるいはiPadを使っていて、3GとWi-Fiを同時に、でも個別にデータ通信したい場合があります。例えば、iPhoneとMacとをWi-FiのOSCでコントロールしながら、同時に3Gでメール・チェックをしたい、みたいな感じ(無理矢理な設定ですが笑)。

通常はiPhoneをWi-Fiルータに繋ぐとWi-Fiが優先されて、3Gはインターネット接続には用いられない、と思っちゃいますよね。となると、en0が…Socketが…って面倒な話になりそう。ところがなんと、Wi-Fi設定でルータのアドレスを指定しなければ、3Gでインターネット接続しちゃうみたいです。

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そりゃそうだと言うか、なんてスマートと言うか、常識って怖いねと言うか、ともあれ特別なことは不要でした。実際の場面としてはMacBookなどとAd Hoc接続する場合ですね。先に例として挙げたOSC通信とWebサーフィンとかもバッチリでした。RemokonならUsing a Built-in AirPortの設定そのままです。逆にそんなの常識だよと言われそうですが、備忘録として記事にしておきますね。

電子書籍「リアルタイム映像表現の可能性/2005」リリース

7/10に電子書籍「リアルタイム映像表現の可能性/2005」をwookよりリリースしました。iPhone、iPod touch、iPad、Android、Mac、PCのいずれでもお読みいただくことができます。一部は試し読みもできます。

realtime-wook

内容はこんな感じ。

本書は自作品「Time Machine!」を通して、リアルタイム映像表現の可能性について論考しています。Time Machine!はインタラクティブな映像インスタレーション作品として制作され、鑑賞者のライブ映像を時間的および空間的に処理することによって、目眩くような視覚表現を行います。この自照的な状況によって、鑑賞者にある種の客観的な視覚体験を提示することになります。論考としては、写真の誕生から1960年代以降に現れたリアルタイム映像表現の先駆的作品を取り上げ、その内容や意義を考察します。そして、Time Machine!および関連する自己の作品を取り上げ、リアルタイム映像表現に関連する様々な観点を検証します。

書名が示すように2005年の執筆で、これまで刊行していませんでした。何故って、これ私の博士論文で一般にバカ売れするようなものではないから。極めて優秀な論文ならいざ知らず、出版社に打診することもしていませんでした。でも今は電子出版でサクっと出せちゃいます。出版コストはほぼゼロ。

しかし、コストがゼロとは言え、今になってこの書籍を刊行したのは、まさに数年の歳月が過ぎたからかも。当時は高度な映像処理を苦労して実現したけど、今となっては技術自体にビックリすることはないはず。となると、技術ではない部分での価値が問われる。数年を経て何が残ったのかを確かめることができるわけです。

実際にも本書では技術的な記述は必要最小限に留めています。Max/MSP/Jitterのパッチやエクスターナル・オブジェクトのC/C++コードも登場するけど、それらを解説しているわけじゃない。つまり、技術を使いつつも何を表そうとしたのかが主題。表題も「映像表現」であって「映像処理」ではないからね。

なので「2061:Maxオデッセイ」や「Maxの教科書」のような解説書を期待しないでください。ただ、ほとんどの人はプログラミングを学ぶのが目的ではなくて、プログラミングによって「何か」を作りたいワケでしょ?その「何か」の本なのです。

ちなみに、アート系の人は論文を書くのが苦手だったりしますが(私もそう)、この程度の内容で博士号を取得した例もある(苦笑)というベンチマークに使えますね。修士論文や学士論文にも参考になるかも。もっとも、審査配分は作品50%論文50%だったので、この論文がすべてではありませんよ。実際には作品のほうがウェイトが高い印象でしたし、論文だけでは評価できない世界なのです。

スリープLEDパターン

先日iCufflinksなるMac Proのパワーボタンに似せたカフスボタン(シャレか?)が発売されたとか。これ形状が似ているだけでなく、マークがMacのスリープ時のLEDそっくりに点滅するらしい。同サイトのムービーを見る限り、確かにソレっぽい。

icufflinks

このスリープLEDは、穏やかな睡眠時の呼吸のように見える素敵不思議な印象を与える。小さな矩形LEDながら、MacBookやApple TVにも備わっている。なんとこれでAppleは特許を取っている。だけど特許資料にはパターンの詳細は書かれていない。

で、少しWEBサーチしてみると、それはexp(sin())じゃないかとの情報があったので、Maxで適当なパラメータでシミュレートしたのがコレ。なんとなくそれっぽいものの、違和感があるようなないような…

macsleepledpatter1-max

実はiCufflinksはオープンソース・ハードウェアであって、GitHubにプロジェクトが公開されている。アセンブリ・コードなので早々に諦めてたんだけど、良く読むとテーブルからデータを読み出しているだけでした(だけ、ってのもナンですが)。実際にMacのLEDの輝度変化を測定した結果らしい。

そのデータを拝借してMaxに組み込んだのがコチラ。LEDとLCDの特性の違いがあるけど、exp(sin())よりシックリ度が高い。ホタルの点滅にも似ているね。

macsleepledpatter2-max

と言う訳で、これらのMaxパッチです。macsleepledpattern-max.zip

6月のimoutoidくん追想

今週末は「6月のimoutoid」と銘打たれたイベントが開催されます。若くして夭折された音楽家imoutoidくんにちなんだトーク、ライブ、DJ、VJが織りなす一夜だそうです。このイベントのために制作された特別小冊子が発行され、生前の貴重なライブ記録映像も上映されるとか。

imoutoid_in_june

イベント「6月のimoutoid」
日時:2011年6月25日(土)開場19:00 開演19:30
会場:六本木 SuperDeluxe
料金:予約2,500 円 /当日3,000円 (1ドリンク付)

私は出演するわけでもなく、お手伝いをするわけでもないのですが、会場でウロウロしていると思います。なぜって、実は一度だけimoutoidくんに会ったことがあるから。それは2008年7月に開催されたSuperColliderワークショップでのこと。その時の写真には、後ろ姿で小さく彼が写っている。この記事で以下のように書いたのは、まさに彼のこと。

個人的には、フル・シンセシス(サンプリングは使わない)で作られたディストーション・ギターのリズミカルなフレーズ・ジェネレータがお気に入り。年齢的にまだIAMASに入ることができないそうですけど、若輩才人くん、なかなかヤル〜って感じ。

彼のお父様はギタリストで、彼のSCコードから魔法のように紡ぎ出されるギター・リフはお父様お得意のファンク奏法にそっくりだと、最近になって聞いた。同じワークショップで披露していた花火のシミュレーションも、彼が育った地元の花火大会のそれだと言う。これらのコードは「The SuperCollider Book」に収録されている。

同じ日、軽口っぽく「18歳になったらIAMASにおいでよ」と話したことも覚えている。ありきたりの教育制度とはチョットと違うIAMASは、彼が活躍する場になったと思う。ほどなく彼は入試資料を取り寄せたものの、過去問題集を見て諦め顔だったそうだ。ありきたりの一般教養や主要科目の問題ばかりが目立ったに違いない。もう一度会う機会があれば、入試制度もチョット違うんだよと伝えたはずだが、それは叶わなかった。

imoutoidくんは年齢や経歴や体制とは関係のない世界で優れた才覚を発揮していた。それはギターや花火のSCコードが示すように、彼自身の体験に根ざした、地に足がついた創作だったように思える。そんな彼の一端に触れることができるであろうこのイベント、ちょっとメランコリックになりながらも楽しみにしています。

クラウドの再定義

誰でも苦手分野があるけど、Appleの場合はネットワーク・サービスだろうね。この10年間だけでもiToolsに始まり、.MacからMobileMeへと変遷するものの、MacやiPhoneのようなレベルにはほど遠かった。

これはデバイスでのユーザ体験とネットワークでのユーザ体験とは違う、ってことなんだろうね。なぜって、MobileMeほどGUI的に(外見的に)洗練されたネットワーク・サービスはないと思うけど、でも使いにくいよね。むしろ、ネットワークに素敵なGUIをくっつければ使い易くなると思ったのがMobileMeだったんじゃない? 見当違いも甚だしい。

そんなAppleが起死回生とばかりに巨大データセンター込みで仕掛けるのがiCloud。お得意のアイなんとかってネーミングに腐食気味だけど、これがコケたらヤバいってくらい力が入ってる。WWDC2011のキーノートでも明らかなように、iCloudはiOSデバイスの母艦たるMac/PCを不要にしてしまう。もうコンピュータは要らない、ってこと。この転身は遅過ぎたくらいね。Androidはとっくにそうだったんだから。

icloud-logo

それではiCloudって何?って言われても、これだぁ!って目に見える実体がない。MobileMeやGoogleなどの一連のサービスがWEBサイトを示せば雰囲気が伝わるのとは大違い。クラウドって様々な定義があるけど、なんとなくSaaS(Software as a Service)っぽいものを連想してしまうのが悪いクセ(私も)。

iCloudはSaaSじゃなくってPaaS(Platform as a Service)だね。あるいはIaaS(Infrastructure as a Service)。そしてユーザが接するのはWEBアプリではなくネイティブ・アプリ。すでに425,000個もあるアプリを利用しない手はない。Appleは明確に唱っている、「iCloudはあなたの様々なアプリケーションとシームレスに統合」と。

まとめると、こーゆーこと。

  • コンピュータはオシマイ→モバイルで行くぜ!
  • WEBはダメ→アプリで行くぜ!

つまり、これまで以上にアプリ開発者が活躍の場が広がると思う。Mac中心主義だったデジタル・ハブ構想を捨て、iOS/OS X中心主義のクラウド構想に移行するターニング・ポイントがWWDC0211ってことになる。それを支えるのがiCloud。

もちろん、Macは制作ツールとして存続するけど、一般ユーザが使うものではなくなる。WEBも簡易な情報提示の場として有効だけど、高度かつ体験性の高い処理はアプリが担う。はてさてAppleの目論み通りにコトが進むかどうか、お手並み拝見と参りましょう。

【追記】iCloudはiOSデバイスだけでなくMacでもWinでもOK。たぶんAndroidなど他のOSでもOKな気がする。そんなワケでクロス・プラットフォーム展開には支障がないハズね。

6/10は横浜でスピーチ

6/10は横浜で開催される画像センシング・シンポジウムで講演をさせていただきます。「AR応用技術の将来展望」というオーガナイズド・セッションで、アーティストから画像解析やARへのラブ・コールとして妄想をお話するような感じかな。よろしくお願いします。

ssii2011

第17回画像センシング・シンポジウム
オーガナイズド・セッション3「AR応用技術の将来展望」
講演「見えないものを見るために」
日時:2011年6月10日(金)15:30〜17:00
会場:パシフィコ横浜アネックス・ホール